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能登半島地震で被災した石川県珠洲市の泉谷満寿裕市長が21日、東京都内で講演し、現地の医療の状況を語った。珠洲市総合病院(163床)の診療体制は、4月以降、ほぼ通常の状態に戻ったものの、被災者の退職で職員が不足していると説明。震災の影響で2023年度決算は赤字に転じたとして、国の財政支援を「ぜひ考えてほしい」と訴えた。
泉谷氏は、自身が副会長を務める全国自治体病院開設者協議会の定時総会に登壇した。
●43人退職、5億円の赤字
泉谷氏の説明によると、珠洲市総合病院は、震災前に建て替えをしていたため、建物の被害は軽微だった。一方で、258人いた職員の約4割が住宅を失った。被災した職員は、病院で寝泊まりしたり、避難所から通ったりして、診療体制の維持に努めた。
3月末までに、子育て中の看護師など、女性を中心に43人が退職。▽自宅の損壊▽断水の長期化▽地震再発への不安―が背景にあった。
患者数は外来・入院とも、震災前の半数程度に戻った。「少ないマンパワーで(運営が)何とか回っている」と話した。
震災前の数年間は黒字経営だったが、23年度決算は約5億円の赤字になった。
能登半島北部には、他の公立病院として▽市立輪島病院(輪島市)▽宇出津総合病院(能登町)▽穴水総合病院(穴水町)―がある。
県立病院を新たに整備し、公立病院がサテライトとして連携する提供体制を視野に入れた協議が、震災前に進んでいた。「協議を加速しなければならない」との認識を示した。
●医療関係者の支援、「心から感謝」
泉谷氏は、DMAT(災害派遣医療チーム)、DPAT(災害派遣精神医療チーム)、看護師、薬剤師による支援にも言及。「携わった全ての皆さまに心から感謝する」と述べた。